就職で専門学校が有利な理由


リスクのある「大卒」より、安定感の「専門学校卒」

近年、マスコミでは「大学卒業者の深酷な就職率低下」を報じています。
東京新聞2012年8月28日朝刊


就職率の低下の原因は、ひとえに景気の低迷によるコスト削減といえます。企業は人件費を減らすことで経営を成り立たせようとするために、正社員の採用を極力控えています。

一般に、新入社員を正規雇用で1人採用する場合、企業はその採用にかかるコストとして、賃金のおよそ2倍の費用を計上します。税込年収300万円の正社員であれば、社会保険・厚生年金、研修費、福利厚生費、事務所賃料(社員一人当たりの占有面積等)を考えると、ざっと5~600万を計上しなければならないということになります。

たった1人を採用するのに、これだけの予算を計上しなければならない上、採用してみたらあまり戦力にならない人材だったらどうするか。これが採用にかかるリスクです。
100人雇用して2~3人が戦力にならないというのならともかく、景気低迷の中で、やっと厳選した5人を採用して、そのうち2~3人が戦力外だったら、それはたいへんな赤字を生み出してしまうことになるからです。

18歳人口の大学進学率が、10%とか20%という時代(1950~60年代)であれば、一定レベルの入学試験の受験経験や4年間の学習経験を踏まえて、それこそ「大学で学んできたのだから、きっと仕事を覚えてくれるはずだ」という希望も持たれました。しかし今は「大学全入時代」と呼ばれ、学費が用意できて学校名などにこだわらなければ、誰もが大学へ行ける時代です。実際に大学進学率は60%ほどに上昇しています。つまり、「大学卒業」という経歴の希少価値が下がった上、「仕事ができるエリート候補エリート候補」という意味では捉えられなくなっているのです。

そこで、企業はなるべくこのリスクを減らそうとします。
具体的には「どの程度仕事ができる人材なのかを分かった上で採用したい」ということです。
例えば大学の法学部を卒業した人。法学部を卒業したところで、いきなり企業法務を任せたり、訴訟資料を作成することは期待できません。民法や商法で優秀な成績をとったといっても、一読しただけで契約書の内容を理解することや、問題個所を洗い出すことなど、まず無理です。同氏にどんな法律をどの程度理解しているのかを聞いてみても、せいぜい所属したゼミの話をされるだけで、実力はなかなか量れません。しかし、専門学校を卒業して、宅地建物取引主任者を取得している人ならどうでしょうか。「不動産取引については一定の知識がある」ということで、不動産関係、建築関係の部署を持っている企業は、素人を採用してしまうリスクを軽減できます。

「大学より専門学校がトク」より


同様に、単に経済学部を卒業した人が、経済学の知識を利用して即戦力になるというのもあまり考えられません。それなら、専門学校で簿記や情報処理の資格を持っている人の方が、仕事を任せやすいと考えます。

動物に関連する企業なら、単なる動物が好きよりも「動物看護士」や「トリマー」を学んできた人。旅行代理店なら、旅好きよりも「総合旅行業務取扱管理者」を採用する方が無難です。

この時代、企業の採用担当としては、「大当たりの人材は少なくてもいいから、ハズレの人材を採用しないことが大切」ともいえると思います。


専門学校は企業の要望を反映させやすい

専門学校は、高度な職業人を養成するため、企業の要望に応えることが多々あります。

「大学より専門学校がトク」より


例えば、近県に空港がオープンする計画があるときは、地元の若者を対象にして、航空会社の地上職員を養成する学科を設置するとか、大手自動車メーカーの工場開設に伴って自動車整備の学科を設置することもあります。
つまり、地域の産業振興や企業誘致の際に、必要な即戦力となる人材を養成するために、すぐに動けるのが専門学校の良いところでもあります。

こうした事情から、専門学校は地元の企業に太いパイプを有していることが多く、その専門学校にだけに寄せられる、他校には非公開の求人もあったりします。

つまり、専門学校は「仕事に直結したカリキュラムを有している」とか、「企業の求める人材を育成する」という性質上、大学の就職率を上回るのは当然のことなのです。


その専門学校とは、いったいどんな学校なのか。実は意外と知らない人が多いのです。
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